大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは、下部消化管内視鏡検査とも呼ばれている検査のことで、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの全大腸を調べて、炎症、ポリープ、がんの有無などを診断することができます。検査の際には必要に応じて、大腸ポリープを切除(ポリペクトミー)したり、組織の一部を採取(生検)したりすることができます。内視鏡で行う治療には内視鏡的ポリープ切除術や内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの種類があります。大腸がんの発症には加齢、飲酒、喫煙、食の欧米化、運動不足といった生活習慣が大きく関わっているとされていますが、ほとんどは良性の大腸ポリープから発生します。そのため、良性のポリープの時点で切除することが大腸がんの予防につながります。また、大腸がんはかなり進行しないと自覚症状が現れにくいという特徴があるため、早期発見のためには症状のない段階から定期的に大腸内視鏡検査を受けることが有効です。
当院では大腸内視鏡検査に対する「つらい」「苦しい」「痛い」「恥ずかしい」というイメージや検査に対する不安を解消できるような環境をめざし、1人でも多くの方に定期的に大腸内視鏡検査を受けていただき、地域の方々の大腸疾患の早期発見と治療に貢献したいと考えています。健診で便潜血反応陽性になった方、あるいは日ごろから便や腸などに不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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検査予約
・12時30分、14時の予約枠があります。Webやお電話、外来受診時にお伝えください。Webで仮予約された場合、1週間前までには外来受診が必要となります。外来受診時に検査説明と下剤をお渡しします。
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検査前日
・消化に良いものや、大腸検査食(自費購入品)を食べてください。詳細は当院でご説明いたします。
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検査当日
・糖尿病薬を飲んでいる方は中止していただくか事前にご相談ください。これ以外のお薬は内服されて構いません。当日にお薬手帳をご持参ください。
・下剤はご自宅でゆっくり飲めます。
・検査予定時間の30分前頃にご来院ください。
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検査
・検査着に着替え、検査用ベッドに横になっていただきます。ご希望の方は鎮静剤を投与しリラックスした状態で検査を受けていただきます。
※検査時間:10~30分程度
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検査後
・検査終了後、鎮静剤投与された方はリカバリールームで休憩いただき、起きられてから当日に検査結果の説明があります。
大腸内視鏡検査は、腸管洗浄液(下剤)によって腸内をきれいにする必要があります。この下剤による前処置が、大腸内視鏡が大変といわれる要因の一つにもなっています。当院では少しでも楽な環境、楽な方法で前処置を行っていただけるように様々な工夫をしています。下剤は、服用量が比較的少なく、ご自宅でゆっくり飲んでいただけるペットボトルタイプのサルプレップを採用しています。
鎮静剤(静脈麻酔)により眠ったまま検査を受けることも可能です。鎮静剤を用いた内視鏡検査の大きな目的は「不安」や「苦痛」の軽減です。大腸内視鏡検査では腸の中に空気を入れるためお腹の張りや吐き気などで苦しんでしまう方もいらっしゃいますが、鎮静剤を使用することで、そのような症状が緩和できます。鎮静の程度を調整することも可能で、検査に対して不安や恐怖心が強い方は「ぐっすりと眠った状態」に、あまり深く眠りたくないという方は「苦痛を取り除く程度の状態」に、というように患者様の状態やご希望に合わせて検査を行うことができます。 鎮静剤の使用は検査を実施する内視鏡医にとってもメリットがあります。大腸内視鏡検査では、緊張してお腹に力が入ることで痛みが生じやすく、蠕動運動で腸も動いてしまうため、内視鏡が奥に進みにくくなることがあります。鎮静剤の使用により、身体の力が抜けリラックスした状態になることで、内視鏡の挿入や大腸の観察自体をスムーズに行うことができるため、検査の質の向上につながります。
検査終了後は、鎮静剤の効果が切れるまでリカバリールームでしばらく休憩していただくため、安心してご帰宅できます(鎮静剤を使用した場合、自動車、バイク、自転車などの運転はできませんのでご注意ください)。
大腸内視鏡検査では、通常、ペタンとした状態にある大腸内を、病変の見落としがないように空気を送りいっぱいに広げて隅々まで観察します。その際の空気がお腹の張り感や痛み、吐き気などの原因になることがあります。いつまでも腸内に空気が残ってしまい検査後にそうした症状が現れることもあります。当院では、このような検査後のお腹の張りによる苦痛を軽減するため、空気に比べて腸管内で速やかに吸収される(空気のおよそ200倍)炭酸ガスを用いて検査を行っています。これにより検査後の苦痛を大幅に軽減することが可能となります。
※炭酸ガスはいわゆる二酸化炭素であり体内に吸収されても身体に害を及ぼすものではありません
検査中に大腸がんのもととなるポリープを発見した場合、精度の高い診断を行いながら必要に応じてその場で切除します。腫瘍性ポリープには良性の大腸腺腫と悪性の大腸がんがあり、大腸腺腫は大きくなるほどがん化率が高まると考えられています。つまり、発がんリスクのあるポリープを早めに切除することが大腸がん予防につながります。また、大きければそれだけ切除が難しくなるため、10ミリ以下の小さいうちに切除したほうが安全性も確保できます。20ミリを超える大きなポリープや切除後の出血リスクが高い場合は、連携先の病院やご希望の病院に紹介させていただきます。大腸ポリープを検査時にその場で切除することで、再度下剤を服用して検査を受ける必要がなくなり、患者様の身体的および金銭的な負担も軽減します。さらに条件を満たした場合に手術給付金の対象となります。
使用する内視鏡機器や処置具は、日本消化器内視鏡学会が定めているガイドラインに準拠した消毒衛生管理を実施しておりますので、安心して検査を受けていただけます。
CAD EYEとは富士フイルムの内視鏡診断支援機能のブランド名称です。膨大な臨床データから深層学習(Deep Learning)を活用して開発。内視鏡検査における病変の検出と鑑別をサポートします。
大腸ポリープの可能性がある領域を検出した場合、報知音と検出ボックスで検出をサポートします。また、内視鏡画像の辺縁部で検出した場合、大腸ポリープの可能性がある領域に近い境界線が点灯します。(ビジュアルアシストサークル)
腫瘍性または非腫瘍性の推定結果にもとづき、緑色もしくは黄色に点灯します。(ビジュアルアシストサークル)またステータスバーで大腸ポリープの可能性がある領域の腫瘍性または非腫瘍性の分析状態を、ポジションマップで分析している位置を示します。
*1 ステータスバーがLevel3を表示している時に反応します。
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
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大腸内視鏡検査(観察のみ) | 約2,500円 | 約5,000円 | 約7,000円 |
大腸内視鏡検査+生検(*1) | 約3,500~5,000円 | 約7,000~10,000円 | 約10,000~20,000円 |
ポリープ切除(*2) | 約7,000~10,000円 | 約14,000~20,000円 | 約20,000~30,000円 |
*1 生検とは病変の組織を一部採取して、顕微鏡で確認する検査です。個数により増減します。
*2 ポリープの切除個数により増減します。「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」は原則、手術給付金の支払い対象となります。ご加入されている保険会社へお問い合わせください。
*上記費用の他に診察料、薬剤料などが別途かかります。
大腸ポリープの多くは無症状ですが、健診の便潜血反応で陽性になることが少なくありません。発症原因としては、遺伝的なものが多く、そのほかに食生活の欧米化なども考えられています。大腸ポリープの全てが大腸がんに移行するわけではありませんが、そのリスクを診断するために大腸内視鏡検査を行う必要があります。定期的に大腸内視鏡検査を行うことでポリープの早期発見が可能となり、低侵襲な内視鏡治療が選択できます。10ミリ程度までの平らな大腸ポリープであれば、日帰り切除を行うことができます。
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。大腸の粘膜に発生した大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり腹腔内に散らばる腹膜播種を起こします。また、大腸の壁の中を流れるリンパ液に乗ってリンパ節転移をしたり、血液の流れに乗って肝臓、肺など別の臓器に遠隔転移したりします。大腸がんの転移が、肺や肝臓の腫瘤として先に発見されることもあります。早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。代表的な症状として、便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどがあります。がんが進行すると、慢性的に出血することによる貧血の症状(めまいなど)があらわれたり、腸が狭くなることによる便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じがする、おなかが張るなどの症状が起こったりすることがあります。さらに進行すると腸閉塞となり、便は出なくなり、腹痛や嘔吐などの症状が起こります。体重が減ることもあります。最も頻度が高い、便に血が混じる、血が付着するなどの症状は、痔などの良性の病気でも起こることがあるため放置してしまいがちですが、がんであった場合、そのままにしておくとがんが進行してしまいます。できるだけ早くがんを発見するため、このような症状がある場合は、早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診するようにしましょう。
大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といい、狭義にはクローン病と潰瘍性大腸炎に分類されます。クローン病も、この炎症性腸疾患のひとつで、1932年にニューヨークのマウントサイナイ病院の内科医クローン先生らによって限局性回腸炎としてはじめて報告されました。クローン病は主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こりえますが、小腸と大腸を中心として特に小腸末端部が好発部位です。非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)を特徴とします。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。クローン病の原因として、遺伝的な要因が関与するという説、結核菌類似の細菌や麻疹ウイルスによる感染症説、食事の中の何らかの成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしているという説、腸管の微小な血管の血流障害説などが報告されてきましたが、いずれもはっきりと証明されたものはありません。最近の研究では、なんらかの遺伝的な素因を背景として、食事や腸内細菌に対して腸に潜んでいるリンパ球などの免疫を担当する細胞が過剰に反応して病気の発症、増悪にいたると考えられています。わが国のクローン病の患者数は特定疾患医療受給者証交付件数でみると1976年には128人でしたが、平成25年度には39,799人となり増加がみられています。それでも、人口10万人あたり27人程度、米国が200人程度ですので、欧米の約10分の1でしたが、現在も増加傾向は続いており、令和元年度医療受給者証保持者数は44,245人に達しています。10歳代~20歳代の若年者に好発します。発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられます。男性と女性の比は、約2:1と男性に多くみられます。世界的にみると、先進国に多く北米やヨーロッパで高い発症率を示します。衛生環境や食生活が大きく影響し、動物性脂肪、タンパク質を多く摂取し、生活水準が高いほどクローン病にかかりやすいと考えられています。喫煙をする人は喫煙をしない人より発病しやすいと言われています。クローン病の症状は患者さんによってさまざまで、侵される病変部位(小腸型、小腸・大腸型、大腸型)によっても異なります。その中でも特徴的な症状は腹痛と下痢で、半数以上の患者さんでみられます。さらに発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、全身倦怠感、貧血などの症状もしばしば現れます。またクローン病は瘻孔、狭窄、膿瘍などの腸管の合併症や関節炎、虹彩炎、結節性紅斑、肛門部病変などの腸管外の合併症も多く、これらの有無により様々な症状を呈します。クローン病の治療としては、内科治療(栄養療法や薬物療法など)と外科治療があります。内科治療が主体となることが多いのですが、腸閉塞や穿孔、膿瘍などの合併症には外科治療が必要となります。
大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といい、狭義にはクローン病と潰瘍性大腸炎に分類されます。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、血便を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。この病気は病変の拡がりや経過などにより下記のように分類されます。
1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型
2)病期の分類:活動期、寛解期
3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症
4)臨床経過による分類: 再燃寛解 型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型
わが国の潰瘍性大腸炎の患者数は166,060人(平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計)、人口10万人あたり100人程度であり、米国の半分以下です。発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳ですが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1:1で性別に差はありません。虫垂切除をした人では発症リスクが低いことや、喫煙をする人はしない人と比べて発病しにくいことが報告されています。症状としては下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められます。痙攣性または持続的な腹痛を伴うこともあります。重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもあります。潰瘍性大腸炎の診断は症状の経過と病歴などを聴取することから始まります。最初に、血性下痢を引き起こす感染症と区別することが必要です。下痢の原因となる細菌や他の感染症を検査し、鑑別診断が行われます。その後、患者さんは一般的にX線や内視鏡による大腸検査を受けます。この検査で 炎症 や潰瘍がどのような形態で、大腸のどの範囲まで及んでいるかを調べます。さらに大腸粘膜の一部を採取する”生検”によって、病理診断を行います。潰瘍性大腸炎は、このようにして類似した症状を呈する他の大腸疾患と鑑別され、確定診断されます。治療法としては原則的には薬による内科的治療が行われます。しかし、重症の場合や薬物療法が効かない場合には手術が必要となります。
大腸憩室、虚血性大腸炎、大腸粘膜下腫瘍、感染性大腸炎(病原性大腸菌、結核菌、カンピロバクター、サルモネラ、スピロヘータ、サイトメガロウィルス、真菌、アメーバ等)、薬剤起因性大腸炎、腸間膜静脈硬化症、痔核など、上記以外にも様々な病気があります。診断するためには専用の検査方法がありますので、外来受診時などに詳しくご説明いたします。