胃カメラ|佐藤内科クリニック|福岡市東区箱崎の内科 / 胃腸・内視鏡内科

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胃カメラ

胃カメラ|佐藤内科クリニック|福岡市東区箱崎の内科 / 胃腸・内視鏡内科

胃カメラ

胃カメラ

胃カメラ(胃内視鏡検査)とは、上部消化管内視鏡検査とも呼ばれている検査のことで、胃がんの早期発見のほか、食道がん、十二指腸がん、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍などの様々な病気を診断することができます。口や鼻から先端にCCDカメラが搭載された内視鏡を挿入し、上部消化管(食道・胃・十二指腸)を直接観察できるため、X線検査に比べて微小な病変の発見に優れています。検査では必要に応じて内視鏡先端部から出てくる鉗子(かんし)を操作し、病理診断用の組織を採取(生検)したり、ポリープを切除(ポリペクトミー)したりすることもあります。また、出血部位を止血することもあります。組織採取などが特になければ、検査時間は5-10分程度です。この短時間でどれだけ精度の高い診断を行うかを大切にしています。
内視鏡はつらくて怖い検査というイメージを持たれる方が多いのも事実ですが、現在は、医療技術や内視鏡機器が進歩し、苦痛を和らげる色々な選択肢があります。当院では、苦痛なく安心して内視鏡検査を受けていただけるよう様々な工夫を施し、患者さま一人ひとりにあった検査方法をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。

このような方にお勧めです

  • 胸やけ、胸のつかえや痛み、のどの違和感や痛み、長く続く咳
  • 胃もたれ、食欲不振、みぞおちの痛み
  • 胃液があがってくる、口の中が酸っぱい、苦い
  • 貧血がある、黒い便が出た 
  • 健診や人間ドックのバリウム検査で異常を指摘された
  • 定期的に検査をしている
  • 過去にピロリ菌を指摘された、もしくは除菌した
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍になったことがある
  • 血縁者に胃がんになった人がいる

検査の流れ

1

検査予約

・10時、11時、14時の予約枠があります。Webやお電話、外来受診時にお伝えください。

2

検査前の食事

・前日の食事はいつも通り済ませてください。10時、11時予約では朝食を絶食、14時予約では朝食は8時までで昼食は絶食としてください。いずれも飲水は直前まで可能です。

3

検査当日の注意事項

・検査開始時間の30分前までにお越しください。
・糖尿病薬を飲んでいる方は中止していただくか事前にご相談ください。これ以外のお薬は内服されて構いません。当日にお薬手帳をご持参ください。

4

検査

・検査用ベッドに横になっていただき、ご希望の方は鎮静剤を投与してリラックスした状態で検査を受けていただきます。
※検査時間:5~10分程度

5

検査後

・検査終了後、鎮静剤投与された方はリカバリールームで休憩いただき、起きられてから当日に検査結果の説明があります。

検査前後の注意事項

検査前後の注意事項

  • 検査後はのどの麻酔が効いていますので、飲水や食事は1時間以上経過してからとるようにされてください。
  • 鎮静剤を使用された方は自転車やバイク、車の運転はお控えください。公共交通機関やどなたかのお迎えの手配が必要となります。
  • 生検を行った場合、出血予防のため当日の飲酒や激しい運動、長時間の入浴はお控えください。軽いシャワーなどは構いません。
  • 検査後の食事制限はありませんが、なるべく消化の良い物を摂取されてください。

苦痛を軽減するために

検査機器による工夫

上部消化管用 細径処置スコープ「EG-840TP」

先端部径7.9mmと細径ながら、従来処置スコープ(*1)同様の鉗子口径や副送水機能を搭載することで、食道・十二指腸など管腔の狭い部位や狭窄箇所での処置性向上が期待されています。また、下方向の湾曲角度を従来処置スコープ(*1)の120°から160°に拡大しました。これにより、胃噴門部や十二指腸・食道などの部位へのアプローチ性向上が期待されます。さらに、高解像度CMOSセンサー搭載により、近接から遠景まで高精細でクリアな画像を提供し、確実な処置をサポートします。
また、「EG-840TP」は、細く柔軟であるため、咽頭反射など患者様の負担軽減が期待できます。副送水機能と、上部消化管用汎用スコープ(*2)より大きい鉗子口径3.2mmを搭載することで、粘液の洗浄と吸引が行いやすく、観察から治療まで1本のスコープで完結できることを目指しています。

*1 従来処置スコープ「EG-L580RD7」との比較
*2 上部消化管用 汎用スコープ「EG-760R」との比較

このスコープの主な特長

(1)先端部径7.9mmと細径ながら鉗子口径3.2mm・副送水機能を実現

従来処置スコープから先端部径を約2割細くし、7.9mmとしました。これにより、咽頭反射や嗚咽感など患者さまの負担軽減、食道・十二指腸など管腔の狭い部位や狭窄箇所での処置性向上が期待されます。内視鏡を細くすると通常は搭載できる機能が制限されますが、鉗子口径3.2mm及び副送水機能を実現しています。

(2)下方向湾曲角度160°に対応し、病変部へのアプローチ性を向上

医師はスコープの先端部を上下左右に湾曲させながら、さまざまな部位に存在する病変の診断・治療を行います。本製品は、下方向の湾曲角度を160°とすることで、胃噴門部や十二指腸などこれまでスコープが届きにくかった部位にもアプローチできることが期待されます。

(3)高解像度CMOSセンサーを搭載しハイビジョン画質提供

先端部径7.9mmと細径ながら、高解像度CMOSセンサーを搭載し、クリアなハイビジョン画質を実現しています。近接2mmからの観察により、粘膜表層の微細な血管模様や構造の視認性向上が期待できます。また、炎症の診断や微小な病変の発見をサポートし「BLI」(*1)や「LCI」(*2)といった特殊光観察モードにも対応しています。

  • *1 「Blue Light Imaging」および「Blue LASER Imaging」の略
  • *2 「Linked Color Imaging」の略

(4)高弾発グラデーション軟性部開発で挿入性向上に期待

挿入部先端から手元にかけて硬さと弾発性を変化させ、先端側は軟らかく、手元側はたわみにくくコシのある軟性部「高弾発グラデーション軟性部」を開発しています。術者の操作が先端に伝わりやすいため、十二指腸など深部挿入時の挿入性向上が期待できます。

上部消化管用 経鼻スコープ「EG-840N」

極めて細い内視鏡(先端部系 5.8mm)を鼻から挿入する”経鼻(けいび)”内視鏡検査という方法があります。内視鏡が舌の根元に触れることなく進みますので、苦痛の原因の一つである嘔吐反射(オエーッとなる“えずき”の反射)が起こりにくくなります。細径ですので、ポリープを切除したり出血部位を止血したりすることはできませんが、病理診断用の組織を採取(生検)することはできます。また、鼻腔が狭い場合は挿入できず、ご相談のうえ口からの通常の方法に切り替えることがあります。

鎮静剤による工夫

ご希望によって、少量の鎮静剤(静脈麻酔)で眠ったまま検査を受けることができます。この鎮静剤を用いた内視鏡検査には、2つの大きなメリットがあります。まず、「苦痛が限りなく少ない」ということです。胃内視鏡検査では体質などにより嘔吐反射や咳などで苦しんでしまう方もいらっしゃいますが、眠っている状態で検査を行うため、このような苦痛を感じることなく終了します。嘔吐反射が強い患者さまにとって大きなメリットといえます。鎮静薬の使用は検査を実施する内視鏡医にとっても大きなメリットがあります。喉や身体の力が抜けることで、内視鏡の挿入や消化管の観察自体をスムーズに行うことができるため、検査の質の向上につながります。検査終了後は、鎮静剤の効果が切れるまでリカバリールームでしばらく休憩していただくため、安心してご帰宅できます。

感染症に十分配慮した安心できる内視鏡検査

使用する内視鏡や処置具は、日本消化器内視鏡学会が定めているガイドラインに準拠した消毒衛生管理を実施しておりますので、安心して検査を受けていただけます。

内視鏡画像診断支援システム

AI技術の一つであるディープラーニングを活用して開発。病変のリアルタイム検出・鑑別を支援するシステムである「CADEYE」を搭載しています。
富士フイルム株式会社が開発した、日本初の薬事承認を取得した内視鏡診断支援ソフトウェアです。

このシステムの主な特長

(1)胃がん・食道扁平上皮がん疑い領域をリアルタイムに検出

胃がん・食道扁平上皮がん疑い領域をリアルタイムに検出

内視鏡が食道内に入ると同時に検出支援を開始。食道扁平上皮がんが疑われる領域を検出すると、リアルタイムにモニター上の対象領域を枠(検出ボックス)で囲って表示するとともに、報知音を発します。また胃内でも、胃腫瘍性病変が疑われる領域を検出すると、検出ボックスと報知音を発出。医師に対して視覚・聴覚で注意喚起することによって、医師が画像を解釈し病変を検出することを支援します。

(2)新開発「ランドマークフォトチェッカー」で丁寧な観察を支援

新開発「ランドマークフォトチェッカー」で丁寧な観察を支援

医師は、袋状の臓器である胃の検査では、内視鏡を曲げたり反転させたりしながら、胃の内部にある臨床的な特徴を有する複数の主要部位(ランドマーク)を観察しています。その観察をサポートする機能として「ランドマークフォトチェッカー」を新たに開発しました。「ランドマークフォトチェッカー」は、胃の内視鏡検査中に静止画像を撮影すると自動的に作動。あらかじめ設定されたランドマークの静止画が撮影されると、モニターに出ている胃のイラストに撮影完了箇所が表示されます。本機能により、胃内全体が適切に観察・静止画撮影されているかを医師がより意識・確認しやすくなることが期待されます。

モニターに出ている胃のイラストモニターに出ている胃のイラスト

(3)医師の負担抑制を考慮し、内視鏡システムと一体化した操作性を追求

食道ではBLI観察およびLCI観察モード時に、胃では白色光およびLCI観察モード時に、病変検出機能が自動で起動。内視鏡側で拡大操作などの追加操作を行わずに、動画の中で本機能を使用することが可能。また、本機能を使用しない時は、スコープスイッチで簡便にOFFにすることができます。さらに、既設の内視鏡モニター上に検出結果を表示するため、「CAD EYE」専用のモニターを設置する必要はなく、検査中の医師の視線移動を抑制します。内視鏡システムとの連携を考慮した設計を施し、日常の検査ワークフローに溶け込む操作感を追求。医師の負担抑制を目指しました。

検査の費用

保険診療

1割負担 2割負担 3割負担
胃内視鏡検査(観察のみ) 約2,000 約4,000 約6,000
胃内視鏡検査+生検 約3,000 約6,000 約9,000

※生検とは病変の組織を一部採取して、顕微鏡で確認する検査です。
※上記費用に診察料、薬剤料などが別途かかります。

検査でわかる代表的な疾患

  • 逆流性食道炎
  • バレット食道
  • 食道がん
  • 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
  • 胃ポリープ
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • GIST(消化管間質腫瘍)
  • ヘリコバクター・ピロリ感染症

逆流性食道炎

さまざまな理由によって胃酸が食道内に逆流して生じる腹部症状や食道の粘膜がただれて傷ができる状態(逆流性食道炎)を胃食道逆流症(GERD)といいます。GERDに関連した症状は“胸やけ”以外にも胃酸の逆流が喉や口まで及び苦い感じがする呑酸(どんさん)や胸痛、むかつき感、慢性的な咳などとして経験することもあり、複数の症状が同時に生じることもあります。ただし、これらの症状は胃酸が逆流した時に常に起こるわけではなく、毎回同じ症状がでるわけではありません。食道が過敏になっている場合には胃酸の逆流がなくても“胸やけ”を感じる場合がありますので、注意が必要です。GERDは良性疾患ですが、さまざまな理由によって年々増加傾向であり、現在では日本人の15~20%がGERDに罹患していると報告されています。そのため、食事が楽しめない、夜に安眠できない、症状が煩わしくて元気がでないなど、日常生活の質(QOL)を著しく低下させることも報告され、より良い生活を送るためには、その対策を確実に行うことが大切です。GERDと診断された場合の薬物治療は酸分泌抑制薬を内服することが基本となります。現在では強力な酸分泌抑制薬の内服で高い効果が得られるため、“胸やけ”の原因がGERDによるものか、異なる疾患で生じているのかを明らかにすることは非常に重要と考えられます。GERDの診断を行うためには、症状の種類や性状によってGERDの存在を予測することが第一ステップとなりますが、内視鏡検査によって食道粘膜のただれを確認することも必要となります。

日本消化器内視鏡学会 胸やけ(逆流性食道炎)の原因は内視鏡でわかりますか?

 

バレット食道

胃酸を含む胃内容物が食道に逆流し停滞すると、逆流性食道炎が発症します。逆流性食道炎とは、食道の粘膜にびらんや潰瘍が発生した状態ですが、そのびらんが治癒していく過程で食道の粘膜が通常覆われている扁平上皮ではなく、胃から連続的に伸びる円柱上皮に置き換わった状態をバレット食道と呼びます。バレット食道の患者さんでは、胸やけなどの症状が見られることがありますが、無症状の方も少なくありません。バレット食道の診断は内視鏡で行います。バレット食道そのものは生命に大きく関わる状態ではありませんが、食道がん(腺がん)の発生母地となる可能性があり注意が必要です。バレット食道腺がんは、欧米に比較し本邦では罹患率が低いとされていますが、最近、日本消化器内視鏡学会の調査で、3cm 以上のバレット食道から1年間に1.2% がんが発生することが報告され、特に長いバレット食道では、本邦においても注意が必要であることが明らかになりつつあります。バレット食道腺がんに対しては胃がんや食道扁平上皮がんに準じて治療を行います。粘膜の中にとどまっている早期のがんはリンパ節転移を伴わないと一般的に考えられており、がんが粘膜内にとどまる状態で早期発見できれば内視鏡での治療が可能です。そのためバレット食道と診断された場合、過度に心配するのではなく定期的に内視鏡で経過観察を行うことが大切です。

日本消化器病学会 Q. バレット食道って何ですか?

 

食道がん

食道がんは、食道の内面をおおっている粘膜の表面からできます。食道のどこにでもできる可能性がありますが、約半数が食道の中央付近からできます。また、食道内にいくつも同時にできることもあります。食道の壁の粘膜内にとどまるがんを早期食道がん、粘膜内から粘膜下層までのがんを食道表在がんと呼びます。食道の粘膜から発生したがんは、大きくなると食道の外側へと広がっていき(浸潤しんじゅん)、食道の壁を越えて気管や大動脈などの周囲の臓器にまで直接広がっていきます。また、食道の壁内にあるリンパ管や血管にがんが浸潤し、リンパ液や血液の流れに乗って、食道外にあるリンパ節や肺、肝臓などの他の臓器へと移っていきます。これを転移といいます。
食道がんは、初期には自覚症状がないことがほとんどです。がんが進行するにつれて、飲食時の胸の違和感、飲食物がつかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み、咳、嗄声させい(声のかすれ)などの症状が出ます。胸の違和感は、早期発見のために注意しておきたい症状です。飲食物を飲み込んだときに胸の奥がチクチク痛む、熱いものを飲み込んだときにしみる感じがするといった症状があります。これらの症状は一時的に消えることもあります。がんが大きくなるにつれて、食道の内側が狭くなると、飲食物がつかえやすくなり、次第に軟らかい食べ物しか通らなくなります。がんがさらに大きくなると、食道をふさいで水も通らなくなり、唾液も飲み込めずに戻すようになります。飲食物がつかえると食事の量が減り、体重が減少します。がんが進行して食道の壁を越え、周囲にある肺・背骨・大動脈などに浸潤すると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。また、食道がんが大きくなり、気管や気管支を圧迫したり、気管や気管支などに浸潤したりすると、その刺激によって咳が出ることがあります。また、声帯を調節している神経に浸潤すると声がかすれることがあります。なお、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状は、肺や心臓、のどなどの病気でも起こります。このような症状がある場合には、肺や心臓、のどだけでなく、食道の検査も受けることが大切です。内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診するようにしましょう。

食道がんについて 国立がん研究センター

 

慢性胃炎(萎縮性胃炎)

腹部不快感、食欲不振、消化不良などの症状がみられることがあります。胃癌のリスクとなる組織学的胃炎はほとんどがピロリ菌 感染に起因するため、その治療には抗菌薬による 除菌療法が原則となります。これ以外には自己免疫疾患による自己免疫性胃炎による萎縮性胃炎などもあります。いずれも内視鏡検査での診断が基本となります。

胃・十二指腸潰瘍

胃痛や背中の痛み(胃潰瘍は食直後、十二腸潰瘍は空腹時や夜間)を伴うことが多いですが、その他の症状として「胃もたれ」「吐き気」「お腹の張り」などの症状を生じることもあります。治療が遅れ潰瘍が深くなると出血することがあり、吐血や血便がみられ、貧血をまねくこともあります。主にピロリ菌が原因となりますが、ストレスなどでも発症します。多くは薬物治療で改善します。

胃がん

胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。がんが大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。がんがより深く進むと、漿膜の外側まで達して、近くにある大腸や膵臓すいぞう、横隔膜、肝臓などにも直接広がっていきます。このようにがんが浸み出るように周囲に広がっていくことを浸潤しんじゅんといいます。がんが漿膜の外側を越えると、おなかの中にがん細胞が散らばる腹膜播種が起こることがあります。また、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って移動し、胃から離れた別の臓器で増える転移が起こることもあります。なお、胃がんの中には、胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていくタイプがあり、これをスキルス胃がんといいます。スキルス胃がんは進行が早く、腹膜播種が起こりやすい特徴があります。また、内視鏡では診断することが難しい場合もあります。症状があらわれて見つかったときには進行していることが多く、治りにくいがんです。
胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあります。代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などです。また、がんから出血することによって、貧血が起こることや、黒い便(血便)が出ることもあります。しかし、これらは胃がんだけではなく、胃炎や胃潰瘍いかいようでも起こる症状です。そのため、胃炎や胃潰瘍などで内視鏡検査を受けたときに、偶然がんが見つかることもあります。なお、食事がつかえる、体重が減る、といった症状がある場合は、進行胃がんの可能性もあります。このような症状がある場合は、検診を待たずに、内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診するようにしましょう。

胃がんについて 国立がん研究センター

 

GIST(消化管間質腫瘍)

GIST(ジスト:Gastrointestinal Stromal Tumor)は、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種です。消化管粘膜下にできる腫瘍はGISTだけではなく、良性の平滑筋腫、神経鞘腫や悪性の平滑筋肉腫などのこともあります。GISTの発症率は年間に10万人に対して1人から2人くらいとされ、まれな腫瘍です。発症には男女差がなく、胃に最も多く見られ、ついで小腸、その他の消化管になります。ほとんどの年齢層に見られますが、中高年に好発(60歳代でピーク)します。吐き気や腹痛、下血・吐血やそれに伴う貧血などが起こることがあります。他の病気でもあらわれる症状ばかりで、GIST特有の自覚症状は特にありません。腫瘍が大きくなってからでないと症状が出ないことが多く、しばしば発見が遅れます。内視鏡検査による早期発見が重要です。

GIST 国立がん研究センター 希少がんセンター

 

ヘリコバクター・ピロリ感染

・ピロリ菌は、正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌で胃の中に生息しています。
・アルカリ性のアンモニアを作り、強い酸性の胃でも生きられます。
・多くの研究により、ピロリ菌が慢性胃炎、胃・十二指腸、胃がんなどの原因になっていることがわかっています。
・1983年はじめてピロリ菌の培養に成功したウォーレンとマーシャルは、のちにノーベル賞を授与されました。

・ピロリ菌は口から感染します。
・とくにピロリ菌に感染しやすいのは乳幼児期と考えられています。
・ピロリ菌はヒトーヒトで経口感染しますが、環境因子や家庭内感染など他にいくつかの感染経路も考えられます。
・親世代の感染率が低くなり、衛生環境も良くなっているため、子どもの感染率は非常に低くなっています。
・成人になってからの感染はまれです。

わずか1週間の簡単な除菌治療のみで、ピロリ菌による病気を予防し、治癒することがわかっています。

ピロリ菌による病気の予防
・胃がん⇒発生、再発が半数~3分の1に減少
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍⇒再発をほぼ抑制

ピロリ菌による病気の治癒
・胃マルトリンパ腫⇒60%~80%で治癒
・胃過形成性ポリープ⇒約70%で縮小、消失
・特発性血小板減少性紫斑病⇒約半数で血小板が上昇
・機能性ディスペプシア⇒一部で上腹部症状が改善

感染経路の抑制
・次世代へのピロリ菌感染を予防

ピロリ菌の除菌は、
①多くの方が大きな恩恵を受けます。
②次世代への感染を予防します。
その結果、胃がん撲滅や医療費削減に寄与します。

日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌に関するQ&A